フィルムに記録される有効情報量

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file:FilmCapacity.html
●フィルムに記録される有効情報量


〜 適正露光条件から、有効フィルム粒子径を推定する 〜
1999.2.6 改

---------- <はじめに> ----------

 高感度フィルムは粒子径が粗く、高密度なフィルムは感度が低い。
 と一般に言われます。
 フィルムの粒状性を実際に測定せずに、
 適正露光に必要な光量から、粒子径を計算する事はできないものでしょうか。
 つまり、使う計算式は、

(照射された光子数 * 発生確率) / 面積 ==> 感光粒子数 / 面積

 もし、これが可能であれば、感光粒子間の距離を知らずに、
 そのフィルムに記録可能な有効情報量を計算できます。
 そのフィルムの適正露光条件から、記録可能な有効情報量を推定する。
 というのが本論文の目的です。


---------- <計算> ----------

□仮説:フィルムの有効情報量は光子に反応した銀粒子核の数で決まる。
□結論:35mmフィルムの有効記録情報量:106 [MByte]
□条件:
・被写体位置での照度 :41000 [lx]
・レンズF値 :11
・シャッター速度 :1/125 [sec.]
以上の条件で適正露光であるフィルムの場合。
(ISO 100フィルムにて基準露光量に対して+6.3EV)

・倍率 β :倍率:0.02 (=36mm/1800mm)
・レンズ透過率 t: 100 [%]
・フィルム面積 :24*36*10^-6 [m^2]

□仮定
 ・光ショットノイズは、sqr(N)。
  256諧調を完全に確保するために、256^2 = 65536個のAg核が必要。と仮定。
 ・Ag核発生率 : 100 [%] //100個のPhotonで100個のAg核発生。

□計算結果:

[1] 光伝達効率:0.1986%
= t/{4*F^2*(1+β)^2)}

E = π * L * t/{4*F^2*(1+β)^2)} //光学技術ハンドブック
L : 被写体の輝度
E : フィルム面照度
π * L = 完全拡散な被写体とした場合の被写体位置での照度。

[2] フィルム面照度:81.42 [lx]

[3] フィルム面露光量:0.651 [lx・Sec.]
= (フィルム面照度)*(シャッター速度)

[4] フィルム面への全照射エネルギー E_total:0.8276 * 10^-6 [J]
E_total = (フィルム面露光量)*(フィルム面積)/680
1 [lx] = 1 [lm/m^2]
λ= 555nmの光エネルギー : 1[W] = 680 [lm]

[5] 照射Photon数 N_total_photon :2.31 x 10^12 [個]/(24*36mm^2)
N_total_photon = E_total/E_photon

1 Photonのエネルギー : E_photon = h * C / λ
h=6.6256*10^-34 [J・Sec.]
C=3.0 * 10^8 [m/Sec.]
λ=555 * 10^-9 [m]

[6] Ag核間距離:0.0193 * 10^-6 [m]
sqr{(フィルム面積)/(N_total_photon * Ag核発生率)}

[7] 256諧調を出すための基本ユニットサイズ:4.95 * 10^-6 [m]
0.0193 * 256 = 4.95

[7] 有効画素数:3526 [万画素/色]
(フィルム面積)/{(4.95*10^-6)^2}

[8] 全記録情報量:35.26 [MByte]
RGBの3色で3倍。3*35.26 =105.8 [MByte]

出典-----
Nifty-Serve (富士通系会社による商用電子会議室サービス)

  • FPHOTOD MES( 3):#04109 99/01/24 00:06 への投稿原稿から推敲
                                      • -

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