書類をデジカメで接写してTVに表示する

file:shorui.html

● 書類をデジカメで接写してTVに表示する

[1999.5.6]

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◆質問:

【B5の書類をデジカメで撮って、それを、TV画面に出力したときに、
 9ptは無理でも、もうすこし大きい文字を、認識するには、
 どれぐらいの、レベルの、カメラが必要なのでしょうか?】

 ※この質問は、"kazukazu"さんから寄せられた質問です。

◆結論:
 【12ポイント・以上・の文字で書いたB5原稿であれば、
  97万画素・以上・のデジカメを使って、TVにB5全域表示できる。】

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 この質問に回答するために、いくつかの質問&回答に分離しました。

 Q1:「スキャナで漢字を見分けるために必要な画素数は?」
 Q2:「200万画素デジカメの場合は?」
 Q3:「TVの有効画素数は?」
 Q4:「TVにB5原稿を表示した時、認識できるポイント数は?」
 Q5:「TV表示するために必要最小限のデジカメ画素数は?」
 Q6:「B5に9 ポイントで印刷した文字を読めるデジカメは?」
 Q7:「TVに表示できる9ポイント文字の最大原稿サイズは?」

 A1:イメージスキャナなら1文字あたり9pixel あれば読める。
 A2:デジカメHQモードにて、1文字あたり18.8 pixel必要。
 A3:TVの有効表示画素数は、22万画素。
 A4:12ポイント以上。
 A5:TVに文字を表示する場合、最低97万画素のデジカメが必要。
 A6:172万画素のデジカメ。
 A7:7.5 inch。B6(7.2 inch)だいじょぶ、A5(8.5 inch)はつらい。

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【公式集】
 g = [{(72/p) * 9 * q * h }^2] / 1.33 ・・・・・・・・ 式1
 h = {sqr(g * 1.33)}/{(72/p) * 9 * q } ・・・・・・・・ 式2
 L = {sqr(g * 1.33)}/{(72/p) * 9 * q }*25.4 * f/36 ・・ 式3

g : デジカメ画素数 [pixel]
h : 撮影する書籍の長さ [inch]
L : 接写距離
p : 文字のポイント数
q : デジカメ補正係数 (C-2000 ZOOM,HQモードにて 2.1)
f : レンズの焦点距離 [mm] (35mm フィルム換算)

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◆実験1【Q1:スキャナで漢字を見分けるために必要な画素数は?】

方法:
 1) 600ppi/フルカラー で新聞をスキャン。
inch あたり、10文字の新聞(7.2point)
カラーイメージスキャナ GT-9500
 2) Photoshopを使って縮小。(Bi-Cubic)
600ppiの画像を、160/120/90/80ppiの解像度に
リサンプリングして等倍表示。
 3) 1文字あたり、何ピクセルまで小さくしても読めるのか調べる。

結果:
 160ppi←余裕。
 120ppi←余裕。
  90ppi←かなりきついけど、読める。
  80ppi←漢字は、読めない。

計算:
 90ppiにて、1文字あたり、何ピクセルか計算。
 インチあたり10文字の字の大きさをインチあたり90pixel(90ppi)の細かさで表示。
 →1文字あたり、9 pixel。

結論:1文字あたり、9 pixel あれば読める。

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◆実験2【Q2:200万画素デジカメの場合は?】
〜 200万画素デジカメの解像能力 〜

 さて、次の実験は、スキャナとデジカメの比較。

方法:
1) 200万画素デジカメで、取り込み寸法を変えて新聞を接写する。
フレーミングサイズ A4縦、B5縦、A5縦をランドスケープ一杯。
デジタルカメラ OLYMPUS C-2000 ZOOM
HQモード(JPEG高い圧縮 1200x1600pixel 15frame/8MB)

2) デジカメの液晶画面にpixel等倍表示して、可読性を判定する。
x3まで拡大表示して、LCDにて判断。

結果:
 A4縦:想像力が無いと読めない。
 B5縦:どうにか読めるが、知らない漢字があると字画が解らない。
 A5縦:かなりきついけど、読める。

結論:
 A5縦→8.5inch→85文字に1600pixelを費やしている。
 1600/85 = 18.8 pixel必要。

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ここまでの結論
 [1]漢字を読むには、1文字あたり最低でも 9pixel必要。
 [2]デジカメのHQモードにて、1文字あたり18.8pixel必要。
→デジカメ補正係数 2.1

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以上の結果から公式を求めます。(^^)
g : デジカメ画素数 [pixel]
p : 文字のポイント数。
q : デジカメ補正係数 HQモードにて 2.1
h : 撮影する書籍の長さ [inch]

g = [{(72/p) * 9 * q * h }^2] / 1.33 ・・・・ 式1

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◆計算1【Q3:TVの有効画素数は?】

<飯田さんの結論>
{ 130万画素機の、FujiFilm FinePix700 での実験結果です。}
{ B5全体が丁度1画面に収まるようにマクロモードで撮影  }
{ 10ポイント ひらがなはほぼ読める 漢字はつらい    }
{ 12ポイント ほぼ問題なく読める            }
{ 16ポイント 問題なく読める              }

>12ポイント ほぼ問題なく読める
が、実験1の90ppi結果、「かなりきついけど、読める。」
と同じと判断すると、

B5縦は10inch、 文字数は(72/12)x10=60文字。
1文字9 pixelとして、540 pixel。
TVは、VGA(640x480 pixel)は無いのかもしれません。
(540^2)/1.33 = 22万画素相当。

結論:
 NTSC TVの有効表示画素数は、22万画素。

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◆計算2【Q4:TVにB5原稿を表示した時、認識できるポイント数は?】

まず、式1を変形します。

h = {sqr(g * 1.33)}/{(72/p) * 9 * q } ・・・・ 式2

h : 撮影可能な書籍の最大長さ [inch]
g : デジカメ画素数 [pixel]
p : 文字のポイント数。
q : デジカメ補正係数
HQモードにて 2.1

計算:
 式2を使って、h = 10.0 [inch](B5縦)となるように、
 pの数値を9pointよりも上げてゆきます。

h = {sqr(g * 1.33)}/{(72/p) * 9 * q }
 g = 220,000
q = 1
p = 12 point

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◆計算3【Q5:TV表示するために必要最小限のデジカメ画素数

 デジカメ係数を考慮すると、
 q : デジカメ補正係数 HQモードにて 2.1 として、
 
 (2.1^2) * 22万画素 = 約97万画素。

結論:
 NTSC TVに文字を表示する場合、最低97万画素のデジカメが必要。

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◆計算4【Q6:B5に9 ポイントで印刷した文字を読めるデジカメは?】

計算例:
p=9 ポイント
h=10 (B5縦)
→ 172万画素
結論:
 172万画素のデジカメ。実質的には、200万画素。

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◆計算5【Q7:TVに表示できる9ポイント文字の最大原稿サイズは?】

式2を使って、
h = {sqr(g * 1.33)}/{(72/p) * 9 * q }

h : 撮影可能な書籍の最大長さ [inch]
g : TV画素数 22万画素。
p : 文字のポイント数。 9
q : デジカメ補正係数 1

h = 7.5 inch。
つまり、B6(7.2 inch)くらいが限界ですね。A5(8.5 inch)はつらい。

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◆計算6【接写距離の計算】

ついでに、、接写距離を計算しちゃいましょう。
200万画素デジカメを使って、新聞などを撮影するときに、
なるべく広い面積を撮影したいので。

まず、式2に変数を追加します。

f : レンズの焦点距離(35mm フィルム換算)
L : 接写距離
とすると、幾何光学から
f/36mm = L/h
になるので、
L = h * f/36mm

よって、

L = {sqr(g * 1.33)}/{(72/p) * 9 * q }*25.4 * f/36 ・・・・ 式3

L : 接写距離

g : デジカメ画素数 [pixel]
p : 文字のポイント数。
q : デジカメ補正係数 HQモードにて 2.1
f : レンズの焦点距離(35mm フィルム換算)


計算例:
 新聞を192万画素(1600x1200pixel)で撮影する。
 g : 1920,000 pixel
 p : 7.2 point
 q : 2.1
 f : 105mm

L = 626 mm

※時刻表などを接写される方は、式3をエクセルに
 入れておきましょう。(^^)
 文字のポイント数を見分ける練習をしておけば、後は、
 カメラ=被写体の距離を一発で決定できます。
 自分の片腕の長さや、片手の手のひらの幅を
 あらかじめ知って置くと便利ですね。

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出典-----
Nifty-Serve (富士通系会社による商用電子会議室サービス)

  • FPHOTOD MES( 2):#15778 99/05/01 02:17 への投稿原稿から推敲
                                      • -

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