ブログexaminerの英文記事「福島原発の規模は広島原爆の4023倍」は間違い。

■1.結論

ブログexaminer(下記、(1)参照)の英文記事「福島原発の規模は広島原爆の4023倍」は間違い。

www.examiner.com (1)のブログ記事
"Fukushima nuclear cesium fallout equals 4,023 Hiroshima bombs"
は間違い。

[2016-8-24 追記:上記市民記者が 2012/05/25 に書いたブログ記事のリンク先: http://www.examiner.com/article/fukushima-cesium-equals-4-023-hiroshima-bombs は、2016-8-24 時点でリンク切れしておりました。]

■2.経緯

英文記事(1)に「広島原爆の4023倍」という記事があった。
その英文記事の元情報は、読売新聞の英文記事(2)であり、
「It reached a final estimate of 400,000 terabecquerels of iodine-131 and 360,000 terabecquerels of cesium-137.」
とあった。
もし、Cs-137の放射能量が、360,000 TBq であれば、
広島原爆のそれは、 89 TBq であるため、4000倍以上となる。
しかし、同日の東電のプレスリリース(3)では、そのような記載が無い。

■3.blog記事 examiner.com が誤ったポイント

原発事故の規模を単純な一つの数値で比較する際に、
1つの評価軸で比較することを目的に、
全ての核種を「 I-131換算のBq値」で見積り、
Bq単位で加算し、その総和で比較する、ようです。
レベル7という判定はそのように行われる。
ここで、
Cs-137は、 I-131換算のBq値にするためにx40する。(4)

その「1つの評価軸」で比較した場合は、
チェルノブイリは、5,200,000 TBq
今回(2012-5)の東電の見積が、760,000 TBq
よって、チェルノブイリの規模は、福島の規模の 6.8倍
となり、従来から発表されている数字と整合しています。

間違えたポイントは、
ーーー
I-131 : 400,000 TBq
Cs-137 : (9,000 TBq --> I-131 換算 で40倍して)360,000 TBq
合わせて、760,000 TBq
という計算において、
Cs-137 : 9,000 TBq
であるにも関わらず、40倍された値、
Cs-137 :360,000 TBq
を「Cs-137の放出量として」採用し、計算したために誤解した。
ーーー

■4.補足:

Cs-137のみの放出量が、15,000 TBq と発表された時に、広島原爆の168倍、が従来の発表。
 Cs-137(のみの)放出量合計: 1.5x10^16 Bq (=15,000 TBq)
 広島原爆放出セシウム(Cs-137)量:8.9 x 10^13 Bq (=89 TBq)
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20110826/1314382382

今回(2012-5)の東電発表(3)では、
Cs-137(のみの)放出量に注目して、
大気分:10,000 TBq
(評価期間 平成23年3月12日から平成23年3月31日)
海洋分: 3,600 TBq
(評価期間 平成23年3月26日から平成23年9月30日)


■5.資料

(1)
Fukushima nuclear cesium fallout equals 4,023 Hiroshima bombs
http://www.examiner.com/article/fukushima-cesium-equals-4-023-hiroshima-bombs

(2)
読売新聞(英文)
http://www.yomiuri.co.jp/dy/national/T120523005514.htm

(3)
東電発表:
http://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1204619_1834.html

(4)
参考となるサイト:
「Cs-137は、I-131換算のBq値とするためには、40倍する。」
非常に詳細にまとめてあり、参考にさせて頂きました。
http://tenmei.cocolog-nifty.com/matcha/2011/04/post-93f1.html