韓国サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)

張忠謀 ・TSMC創業者インタビュー

2022.3.21 5:25 有料会員限定

 

https://diamond.jp/articles/-/299331?page=2

 

TIにいた当時、日本工場の歩留まり率は米テキサス州(本社所在地)の工場よりもかなり高かった。分析の結果、その理由は人材の差にあると分かりました。

 日本の人材は少なくとも高校を卒業しており、流動性も非常に低かった。これに対してテキサスでは高校の学歴を持つ労働力を見つけることが難しかった。製造プロセスが進むとメンテナンス技術も高度になりますが、テキサスでは細かい機器を修理するメンテナンスの人員が不足していた。このため、新しい設備が生産ラインで順調に稼働する時間はテキサスで60~75%程度にとどまったのに対し、日本では90%に達していたのです。日本のプロセスエンジニアが相当優れていたのですね。この時期に米国は半導体の製造を諦め始めたわけです

韓国のサムスンの台頭は、李健熙(イ・ゴンヒ)氏が「老闆(ラオバン、経営者やボスという意味)」だったことが最大の要因です。これに対して日本の大手半導体企業である東芝日立製作所NECでは、半導体ビジネスを統括しているのはあくまでマネジメントの人材。李氏のような老闆では決してなかったのです。

 優れた老闆は希少であり、1000人に1人いるかどうかですが、李氏はまさしくこの優れた人物だった。彼自身は半導体の専門家でもなんでもありませんでしたが、半導体の可能性を十分理解していた。さらには携帯電話の可能性も理解していました。李氏は時代をつくった英雄です。

韓国サムスン電子の李健熙(イ・ゴンヒ)氏(2020年に会長職で死去)

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