、福島第一原発の北西5.6キロにある双葉町上羽鳥のモニタリングポスト

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140311/k10015898971000.html


東京電力福島第一原子力発電所の敷地の外にある観測点で、事故直後の詳細な放射線量のデータが記録され、震災発生の翌日、1号機が水素爆発する1時間以上前から、数値が急上昇する様子を克明にとらえていたことが分かりました。

3年がたって初めて明らかになったデータで、専門家は「放射性物質放出の真相を検証するうえで、非常に重要だ」と話しています。

放射線量の詳細なデータが記録されていたのは、福島第一原発の周辺に設置された福島県が管理するモニタリングポストです。

その14か所で、事故後数日の20秒ごとの放射線量の値が記録されていたことが、NHKの取材で分かりました。

このうち、福島第一原発の北西5.6キロにある双葉町上羽鳥のモニタリングポストでは、震災発生の翌日(3月12日)の午後2時10分以降、放射線量が急上昇していました。

午後2時40分40秒には、1時間当たり4.6ミリシーベルトと、午後3時36分に起きた1号機の水素爆発のおよそ1時間前にこの日の最大の値を記録しました。

データの推移から、最大値を記録した前後およそ20分で、積算の被ばく線量が一般人の年間の被ばく限度の1ミリシーベルトに達するとみられます。

放射性物質の拡散に詳しい日本原子力研究開発機構の茅野政道部門長は、WSPEEDIと呼ばれるコンピューターシミュレーションで、今回のデータと当時の風向きなどを分析しました。

その結果、午後2時ごろから1号機で行われたベントと呼ばれる緊急の作業が影響したとみています。

ベントは、格納容器が壊れないよう高まった圧力を下げるため、放射性物質を含む気体を放出します。

途中、水の中に通すことで、放射性セシウムなどの放出量を1000分の1程度に抑えるとされていましたが、今回のデータから、それほどの効果は得られず、かなりの量が出たとみられます。

茅野部門長は、「放射性物質の放出の真相を検証するうえで、非常に重要なデータだ。ベントでどういうことが起きるかや、どれくらいの効果があるかを検証しなければならない。多くの研究者が3年たった今も事故の解析をしているので、思わぬところで新たな発見がある可能性もあり、できるだけ多くのデータが欲しい」と話しています。