Karel van Wolferen 著「誰が小沢一郎を殺すのか?」


Karel van Wolferen 著「誰が小沢一郎を殺すのか?」角川書店(2011/3/2)
p145「昭和天皇アメリカ大使館公邸にマッカーサー総司令官を訪問した瞬間から、日本の国際関係を担当した役人たちは、アメリカの方針にしたがうよう注意した。」

p169「『思いやり予算』という名目で、日本は年間2000億円ほど[2010年は1881億円]を拠出するほかにも、巨額の在日アメリカ軍関連経費を負担してやっているのである。だがこれは日米安全保障条約の第六条にもとづいて結ばれた日米地位協定の第二十四条[基地の提供費など日本側が負担するものを除き、アメリカ軍を維持するための経費はアメリカが負担するものとした規定]に違反している。またグアム移転協定にもおおくの『ごまかし』やいつわりが隠されていることは、言うまでもない。」

p187「(外務省や防衛省の)キャリア官僚には、冷戦の終結によって日本はアメリカをさほど必要としなくなったが、アメリカの方は日本をいっそう必要としているという事実が少しも見えないらしい。」

カレル・ヴァン・ウォルフレンは、1941年オランダ・ロッテルダム生まれのジャーナリスト。1962年から日本の権力構造の取材と分析を行い批評活動を展開してきた。

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上記本は、昨日の日本経済新聞によれば、アマゾンの1位になっているらしい。

いよいよ動き出す。

それにしても、歴史は繰り返す。

豊下楢彦(とよしたならひこ) 「昭和天皇マッカーサー会見」岩波書店岩波現代文庫)によれば、戦後、次のような経緯で、日本は、沖縄を米国に差し出した。しかもお土産まで付けて。

昭和天皇は戦後「赤=共産化」の脅威におびえていた。
日本が共産主義国家に成れば、124代に渡って受け継がれてきた天皇制は自分の代で途絶えてしまうのではないかと恐れた。
そして選んだ手が、マッカーサーを頼ることだった。
連合国総司令官であるマッカーサーに、沖縄に米軍を置いてくれるように頼んだ。

吉田茂は、米国の弱みを熟知していた。
米国は非武装を宣言した第9条を日本国憲法に導入した。しかしその直後に朝鮮戦争が起こり、極東情勢は不安定になった。
かといって、日本の再軍備を米国は強く要請できない。
なので、日本は、米国に対して、「なんなら沖縄に米軍を『置かせてやっても良い』けどね。どうしよっかなアァ。。」というカードを握っていたのだ。極論を言えば、思いやり予算どころか、沖縄借地料を米国に支払って貰っても良かった。

○しかし、天皇は、日本の総理や外務省を飛び越えて、マッカーサーと直接交渉をした。つまり、象徴である存在が、外交権を行使したのである。
その結果、結ばれたのが、日米安全保障条約だった。
しかも、国会の審議を経ていない。
サンフランシスコ平和条約を受諾するその日[1951.9.8]、吉田茂は、昭和天皇の圧力に屈し、単独、国会の審議、承認なしに、署名したのであった。

http://www.ioc.u-tokyo.ac.jp/~worldjpn/documents/indices/JPUS/index45-60.html

今、再び、中国の台頭という状況に、敵を作って戦争をけしかけることでしかいきがいを見つけられない悲しい性の米国は、中国に敵対心を露わにする。
小沢一郎は、当選新人議員を引き連れて中国を訪問する。
中国と日本が仲良くしようと努力するのは当たり前だろう。

そろそろ米軍は沖縄から出て行ってもらおう。
そしてグアム移転にもお土産は要らないだろう。

■reference:
(1)誰が小沢一郎を殺すのか? 日本の読者へ(カレル・ヴァン・ウォルフレン緊急インタビュー)

■2011.7.27
ビンラディン殺害のコードネームは『ジェロニモ』だった。
後から入植して強奪した土地にかつて暮らしていた民族のヒーローの名をプロジェクト名とする、その心理に根深いものを感じる。

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