斎藤満 GPIF

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プロフィール:斎藤満(さいとうみつる)
1951年、東京生まれ。グローバル・エコノミスト一橋大学卒業後、三和銀行に入行。資金為替部時代にニューヨークへ赴任、シニアエコノミストとしてワシントンの動き、とくにFRBの金融政策を探る。その後、三和銀行資金為替部チーフエコノミスト、三和証券調査部長、UFJつばさ証券投資調査部長・チーフエコノミスト東海東京証券チーフエコノミストを経て2014年6月より独立して現職。為替や金利が動く裏で何が起こっているかを分析している。

アベノミクス「成長戦略」の)狙いは、これが日本の成長に寄与すると考えたからではなく、巨大な年金ファンドが大量の株買い、外貨買いをすることで、結果として円安に誘導し、株価を押し上げ、インフレ率を高めることで、内閣支持率を高め、政府債務をインフレ調整後の実質で抑制する効果を狙ったと見られます。


長い目で見ると、主要国の金融緩和が究極まで進み、債券を中心に市場が異常な事態になっています。何と、世界にはマイナス金利国債が10兆ドルもあります。


ちなみに、ポートフォリオが従来の比率、つまり国内債券60%、国内株12%、外国債券11%、外国株12%のままであったとすると、国内債券の利益が3兆円以上に拡大し、内外株の損失が約半分になるので、2015年度の全体損益はほぼゼロとなり、5兆円を超える損失を出さずに済んだことになります。


比較的安全資産と見られた国内債券でさえ、異常な金融政策(特に日銀によるマイナス金利付き量的・質的緩和)の結果、極めて大きなリスクを抱えた資産になってしまいました。