1人700万円追加賠償 東電「帰還困難」住民対象に

1人700万円追加賠償 東電「帰還困難」住民対象に

2013年12月26日 夕刊

 文部科学省原子力損害賠償紛争審査会(能見(のうみ)善久会長)は二十六日、会合を開き、東京電力福島第一原発事故のため帰宅の見通しが立たない「帰還困難区域」の住民らに対し、東電が一括して一人当たり七百万円を支払うことを決めた。
 既に支払った慰謝料の将来分とは別で、合計の賠償額は千四百五十万円となる。
 「長年住み慣れた住居や地域が長期にわたり帰還不能となった精神的苦痛に対する賠償」として、賠償指針の見直し案を取りまとめた。
 事故から二年九カ月。いまだに多くの住民が避難生活を送る中、見直しによって生活再建を促すのが狙いだ。
 避難区域の住民一人当たりの慰謝料は月十万円で、帰還困難区域の住民は二〇一二年六月からの五年分、計六百万円を一括で受け取っている。
 審査会はこれまでに避難区域の住民への慰謝料を、避難指示解除から原則一年で打ち切ることを決定。家屋の賠償では、最も低い築四十八年以上の木造住宅の評価額について、現行の新築住宅の二割から、八割の範囲内に底上げすることで合意した。
 避難区域は帰還困難区域のほかに「居住制限区域」「避難指示解除準備区域」に分かれ、総人口は約八万一千人。
 賠償は審査会が定めた指針に基づき、東電が支払う。
 審査会は一一年八月に中間指針を発表、今年一月には農林水産物風評被害の対象地域を広げることなどを盛り込んだ見直し案をまとめた。
 しかし、六月に福島市で開いた会合で県内自治体の首長から「現在の不動産賠償の基準では避難先で土地建物の取得が困難だ」などの批判が相次いだことから、さらなる見直しを進めていた。