高校生のときに流れ星の観測をやっていた

高校生のときに流れ星の観測をやっていた。

流星群(りゅうせいぐん)なんて言ってもじつは大して流れやしない。
ましてや 極大ピーク前後の3日なんて観測した日にはほとんど流れない。

それをわざわざ全天観測だといって、6人(天頂、NEWS、記録)投入して、夜中観測する。

名も知られていない流星群。
6人が一晩中かけて検出する流れ星の数は、10個にも満たない。

いまふうに計算すれば、流れ星1コあたりに換算すれば、スゴイ時給単価だ。

ねえ、部長、こんなことやって何になるの?

良く受けた質問。

データを取ることに意味があるんだ。

それだけをいつも言っていた。

出ないときをデータとしてとり続けるから、出たときが判る。

・・・

大学生になった。

相変わらず流れ星の観測。

その年は、全天カメラを造った。
4台の35mmカメラ(外部からの電気信号でシャッターを操作できる銀塩フィルム式のカメラ)を望遠鏡にセットして、自動追尾して、カメラのレンズの前でプロペラを回して、角速度を記録する。
もし、流れ星が映れば、静止した星座の中を、流れ星にが点点となって映る。

1週間ぶっとおしで撮影する。

膨大なフィルムが何も映らずに現像される。

ねえ部長。こんなことやって何になるの?

またこの質問だ。

データを取ることに意味があるんだ。

そうして、ついに 筑波山上空 100kmに巨大な流れ星が流れた。
運良く、その流れ星を他の場所からも我々と同じように、角速度を測定する方法で撮影しているグループが居た。
その年の学園祭では、どの角度から、地球にその流れ星が突入してきたかを軌道計算して、茨城県の大地をジオラマにした。

やった!

ほらね。こういう時のためにデータを取るんだ。

・・・

でも思うんだ。

成果がでたときを夢見て地道に作業をつづけるんだけど、
じつは、その作業自体が意味があるってことが、わかる。

高校生の時代に1人で研磨していた反射望遠鏡

大学になって、同じように研磨していた大学の先輩に出会った。

その先輩としみじみ語ったけど、「研磨」は修行だってことだ。

そう

鏡は自分を映す鏡なんだ。

鏡を研磨しながらいつもそう感じていた。

その思いを師匠と共有して、うまい酒になった。^^)

(2012−4−2)

市民放射能測定所のスタッフを応援する。ご自愛を。