国際放射線防護委員レポート111号(ICRP111) 2008年

http://tnakagawa.exblog.jp/15365406/

2008年にまとめられた「国際放射線防護委員会」レポート111号「原子力事故もしくは緊急放射線被ばく後の長期汚染地域住民の防護に関する委員勧告」(注1)が、2011年4月4日付けで特別無償配布されています。

原典:

http://www.icrp.org/publication.asp?id=ICRP%20Publication%20111

日本語訳:
http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html

[参考レベルとは、それを超えたら、避難などの対策を実行すべき放射線量のことです。ICRPでは、参考レベルを1 mSv-20 mSvの低い部分から(可能ならできるだけ低く)設定されるべきであり、設定にあたっては、「外部被ばく」「内部被ばく」双方による推定値がそれを下回るようにすべきです。長期には1 mSv/年が参考レベルとなります。(現在の法的な“公衆の被ばく限度”が1 mSv/年です)また、参考レベル以下であっても、さらに放射線量を低減できる余地があれば防護措置を講じるべきだとしています。]

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○重要そうなところを抜き取ってみました。
日本語訳:
http://www.jrias.or.jp/index.cfm/6,15092,76,1,html

ページ11/76
(o)汚染地域内に居住する人々の防護の最適化のための参考レベルは、この被ばく状況区分に対処するためにPublication 103(ICRP,2007)で勧告された1~20mSvの範囲の下方部分から選定すべきである。

過去の経験により、長期の事故後状況における最適化プロセスを制約するために用いられる代表的な値は 1mSv/年であることが示されている。

国の当局は、現地の一般的状況を考慮に入れ、また状況を漸進的に改善するために中間的な参考レベルを採用するよう全体の復興プログラムのタイミングをうまく使ってもよい。

ページ55/76
附属書A.長期汚染地域に関する歴史的経験
(A5)原子力事故または放射線緊急事態がもたらす現存被ばく状況に関する参考レベルの設定に関する限り、過去の経験では、この種の状況を管理するために当局が選定する代表的な線量値は1mSv/年程度であることを示しており、これは長期被ばくを「正常」と見なせるレベル、すなわち、計画的状況における公衆被ばくに関して定められた制限範囲内まで徐々に現象させたいという願望に合致したものである。

チェルノブイリ独立国家共同体諸国(旧ソビエト連邦)】
ページ64/76
(A34)「チェルノブイリ原子力発電所で発生した災害によって影響をうけた市民の社会的保護」に関する法律は、2001年に修正の上、明確化された。このとき、生活及び仕事の条件に何の制限も課されないような地域においては、当該集団の(外部及び内部)平均総被ばく(バックグランドを除く)が1mSv/年を超えてはならないと定められた。この法律は以下の事項を規定していた。
・当該集団の平均被ばくが1mSv/年を超える場合には、防護措置を実施しなければならない。
・当該集団の平均被ばくが0.1〜1mSv/年である場合には、被ばくを低減するための措置を取り止めてはならないが、状況に適応させるべきである。
・当該集団の平均被ばくが0.1mSv/年未満である場合には、防護措置を実施する必要はない。


チェルノブイリノルウェー
(A41) 事故直後の1年間は最大線量を5mSv,その後については、1mSv/年とするものであった。

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