宇野賀津子 低線量放射線の生体への影響と食の重要性:福島での市民向け講演会の経験から

http://www2.yukawa.kyoto-u.ac.jp/~soken.editorial/sokendenshi/vol13/nbp2012/8-10-P4-KU-S.pdf

低線量放射線の生体への影響と食の重要性:福島での市民向け講演会の経験から
(基研主導研究会報告書)
(財)ルイ・パストゥール医学研究センター 基礎研究部
NPO法人 あいんしゅたいん
宇野賀津子

エイズパニックが起こったときに、一つでもウイルスがいれば(ウイルスが含まれる血液が一滴でもつけば)感染のリスクはあると言って、感染者(およびその確率の高い血友病者)の登校を困難に追い込んだ、研究者の犯した過ち」

「無酸素呼吸に比べて酸素呼吸では一分子のブドウ糖から19倍ものATPとしてのエネルギーを取り出すことができます。」

「酸素毒抵抗性のシステムとはスーパーオキサイド・ディスムターゼやグルタチオンなどの抗酸化系です。」

放射線の害とタバコの害が何故比較できるのかと問い詰められました。そこで、放射線の害の6-7割は、大半は生体を構成する水分子に放射線が当たってできる、活性酸素によるものだ」

放射線もタバコも発がん物質の多くも、活性酸素を発生して細胞に障害をあたえる」

活性酸素は、
DNAの鎖を切断(単鎖切断)したり、塩基欠失を起こします。また、2重鎖切断も起こします。ただ、これらは生体にとっては想定の範囲内であり、単鎖切断は100%、2重鎖切断ですら、大半修復されます。」

「修復しきれなかった変異細胞は、変異遺伝子のチェックシステムが働きアポートーシスという細胞死に追いやられます。」

「またここでも排除しきれなかった変異細胞は、後述する免疫システムで排除されます。」

「これら修復機構の学問的解明は、2000年以降に大きく進みました。実際PubMedで検索してみると、AtomicbombとMutation、あるいはCancerでは2000年以降の論文は50%弱ですが、Atomic bomb, DNA damage, Repairとなると2000年以降の論
文は80%ぐらいになります。Atomic bomb, Inflammationについてもやはり80%は2000年以降の論文でした。」

「低線量放射線の害を克服する方法として、抗酸化食を提案しています。がんの予防、抗加齢医学に取り組んできたものとしては、今までの研究の応用問題です。低線量放射線の影響で懸念されるのが、がんリスクの上昇や老化の亢進、慢性炎症の亢進となれば、現在加齢医学で興味もたれている抗酸化食がお薦めです。要するに緑黄色野菜の多用、果物摂取です」