堤未果 : (株) 貧困大国アメリカ 、岩波新書[2013.6.27]

(株) 貧困大国アメリカ 、堤未果
を読んでる。
例のフランスの(カーン大学が2012.9に公開した)遺伝子組み換えトウロモコシのマウス実験公表にたどり着くまでの、累々たる「人柱」の歴史を知る。

フランスが農業大国で、
「かつてファーストフードの象徴のマクドナルド(だったかケンタッキーだったか)の一号店を破壊して逮捕された若者が国民的ヒーローになった国」の事だから、控えめに見たとしても、この本によると、米国の農畜産業は悲惨な状況だ。

ほおっておくと、我々は何処に連れて行かれるのか、よく見た方がいい。

page42の写真だけでも見る価値がある。
ロバート・ケナー監督の映画「フード・インク」のひとこま。
1950年に68日かけて育ったニワトリの写真と
2008年に47日かけて育ったニワトリの写真とが
並べてある。
何を喰わされ、どういう扱いを受けるとこうなるのか、
そしてそれを私達は口に入れている、
その事実をみる。

このフランスの実験は、遺伝子組み換えトウモロコシ自体を食べさせたマウスの発がん性を問題にしている。

まあ、常識的に考えて、遺伝子操作されたところで、「食べ物は食べ物」なので、ガンになるとは思えない。と個人的には思う。(現時点での感想。)

それよりも、http://www.facebook.com/satoru.utsumi 内海さんが指摘しているとおり、
遺伝子組み換え食品の中心的企業 モンサントが自分で行った実験結果が「白」だった、と言う時に、
その実験方法として、自分のもう一つの主力商品である除草剤「ラウンドアップ」を使って除草した農地で育った大豆(もしくはトウモロコシ)を使って、自身の遺伝子組み換え大豆(もしくはトウモロコシ)によるマウスの発がん性の実験をしていない点、が問題なのだと思う。

遺伝子組み換え大豆(もしくはトウモロコシ)とラウンドアップはセットだ。
ラウンドアップは特許が切れており、ゼネリック医薬品と同じで同じ成分の別の名の商品がもう出回っているという。

農家が、除草の手間を省くために、ラウンドアップ(相当品)で除草する。
すると、そこで育つ種は、遺伝子組み換え種しかなくなる。他の種を駆逐していく。
空中散布するからどうしようもない。

ラウンドアップの農作物への残留に対する不安が、内海氏が指摘している点だ。


たとえば、

かろうじて、「自分の子や孫に食べさせられない」農作物は、自分でも生産しない。
それが、農家の「プライド」だ。と考えている奇特な農家が居たとしよう。

でも、この本を読むと、まあ無駄な抵抗だと感じる。
本当に恐ろしい状況だ。