10km先に飛んだ「原子炉内で不完全燃焼をしてしまった核燃料から生み出された物質」

2013年7月10日の英文記事、
2013年9月30日に翻訳が公開された記事。

Marco Kaltofen:
「私たちが目にしているのは、原子炉内で不完全燃焼をしてしまった核燃料から生み出された物質、まさにそうした物質なのだと考えられます。」

「このサンプルは福島第一原発からちょうど10キロメートル離れた場所で採取されました。 」

http://kobajun.chips.jp/?p=13069

(2013.9.30, 星の金貨プロジェクト)
http://george743.blog39.fc2.com/blog-entry-1793.html

「7月10日水曜日のフェアウィンズ・エネルギー・エデュケイションの番組にようこそ。
今日はボストン化学データ社の社長であり、ワーチェスター工芸研究所の博士課程研究者統括責任者でもあり、さらにはアーニー・ガンダーセン同様フェアウィンズのチーフ・エンジニアを務める
マルコ・カルトフェン氏にご参加いただきます。」

Marco Kaltofen,
the President of Boston Chemical Data Corp and doctoral student researcher at Worcester Polytechnic Institute」

マルコ・カルトフェン:
顕微鏡で見てみるとよく解りますが、同種の成分により均一性が保たれています。

ガンダーセン :
お話を伺っていると、この物体は福島第一原発において作りだされたように感じます。つまり、福島第一原発の外で集合体となったのではなく、施設内において現在の形になり、福島第一原発の周囲に存在しているように思われます。

マルコ・カルトフェン:
そうですね、その可能性はあります。

そして検出された放射線の大半はセシウム134と137からのβ(ベータ)線でした。

そしてこの物質に含まれていたのは、1キログラムにつきメガおよそ1.5メガベクレルの放射性セシウムでした。

このサンプルは福島第一原発からちょうど10キロメートル離れた場所で採取されました。

事故が発生してから2年以上が経ち全般に線量が低下しているにもかかわらず、このホットスポットに限って周辺よりも高い放射線量を示しているという点を考えれば、この場所を地図に明示し、人々が近づかないようにする必要があります。

今回分析を行ったサンプルには、高濃度のラジウム226が含まれていました。
ラジウムセシウムと同程度の、放射線の放射を行っているものと考えられます。
ラジウム226ウラニウムが放射性崩壊することによって生み出されるもので、ウラニウムそのものはこのサンプルからは検出されていません。

すなわちこの黒い物質には、原子炉内で放射性崩壊した後の廃棄物だけが含まれているのではなく、燃焼しなかった核燃料の一部もまた含まれている、と。

私たちが目にしているのは、原子炉内で不完全燃焼をしてしまった核燃料から生み出された物質、まさにそうした物質なのだと考えられます。

ガンダーセン :
よく解りました。
伺った話から結論できるのは、この物質が採取されたという事は、原子炉格納容器の密閉性はすでに失われている、それを証拠立てているという事です。

マルコ・カルトフェン:
立ち入り禁止区域、あるいは避難区域内にあるこの黒い物質が、人々が暮らしている区域に入り込まないようにする、どのような防衛線も現実には存在しません。

特に可能性の高いのは土いじりが好きな子供たち、農家の方々、そして建設労働に従事する人々はこの物質を体内に摂取してしまう深刻な危険があります。

吸入、つまり呼吸によって取り込むには、この物質は大きすぎると思います。
特に互いがくっついて大きくなった場合には、呼吸によって体内に入り込むことはまず考えられません。
しかし嚥下による体内摂取の危険は明らかに存在し、特に子供たちと農業従事者の危険性は高いと言わなければなりません。

限られた面積のホットスポットにこの物質がどの程度存在しているのか正確な把握のため、広範な調査が必要であることは明白です。

ガンダーセン :
この物質は珍しい存在ではありますが、報告されるのは初めてではありません。少なくとも約1年前、福島第一原発から20キロほどはなれた以内の場所で、非常に高い放射線量が確認された黒い粉についての報告がありました。
しかし、実際に手元に実物を置いて詳細な分析を行うことが出来たのは、今回が初めてです。

その際重要だったことがあります。
サンプルが送付される前に電子メールでのやり取りがあり、輸送途中に不測の事態が起きないよう、ごく少量のサンプルだけが送られてきた、という事実です。

おかげで輸送途中に誰かが予期せぬ被ばくをしたり、紛失したりという事態を避けることが可能になり、サンプルは無事研究施設にたどり着くことが出来ました。

そこで改めて日本の皆さん、特に福島県にお住まいの方にはお願いがあります。

いきなりサンプルを送るようなことはなさらないでください。

まずは電子メールでご一報ください、その上で違法ではない適切な輸送方法を検討しましょう。

(了)
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NWJ: Welcome to Fairewinds Energy Education Podcast for Wednesday, July 10. Joining me today is Marco Kaltofen, the President of Boston Chemical Data Corp and doctoral student researcher at Worcester Polytechnic Institute, as well as Arnie Gundersen, Chief Engineer for Fairewinds.