体内の放射性セシウム濃度に関連して、もう一つテキスト。
米・小麦・牛乳の放射能汚染と学校給食
−全ての子どもを守るための具体的提言−
平成24年7月6日
茨城大学
理学部 中川尚子
人文学部 蓮井誠一郎、原口弥生
岩波書店『科学』2012年8月号に掲載された内容だそうです。
http://www.iwanami.co.jp/kagaku/KaMo201208.html
論文の主旨は、
茨城県という立地条件の影響もあるのだと想うけど、
当時(H24.夏)、消費者の立場に立った時、予防原則の観点から追加被曝は限り無くゼロが良い。しかし、農産業を持続する立場からは厳しい。そこで、何処までを許容基準とするのかを検討した。
その時に、
(1) 太古より生命が付き合っている、放射性カリウム(K-40)を基準に考えてみよう。
(2) 毎日食べる、米や牛乳について厳しく設定しよう。
(3) 放射線の影響を受けやすい子どもを基準にしよう。
という観点で検討した。
そして採用した方法は、
H24.4.1からの政府基準が、食品のみによる内部被曝が[預託線量1mSv/年]基準で設計して、食品100Bq/kg、飲料10Bq/kgとしたのに対して、
Svではなく、Bq(ベクレル)で考えを進める方法で基準を設ける、という新しいアプローチでした。
結論は、「学校給食における米・小麦・牛乳は 10Bq/kg(2013 年以降5Bq/kg)未満のできるだけ低い値」の導入を提案する。
この論文に記載されいる二つの事実は、重要だと想います。
「
体重 1kg あたりに換算した 40K のベクレル値(60 Bq/kg)は、大人でも子どもでも大きく変わらない。
」
つまり、体重60kgの大人は、体内に、3600Bqの放射性カリウム40を「常に」蓄えている、
体重20kgの子どもは、同じく、1200Bqの放射性カリウム40を蓄えている、ということです。
人体の生命活動に密接にK-40は絡んでいるためだと想うのですが、
多く採ると排出し、足りないと蓄えて、常に一定の濃度(60 Bq/kg)を体内に保持しようとする仕組みが体に備わっている、のだそうです。
「
この 40K の量と比較してどの程度か、という視点で捉え直す。
」
論文中の図1は、
放射性セシウム137濃度10Bq/kgの食事を摂り続けた場合の、
摂取日数に対する、体内Cs濃度の図。
子ども1才(青)で、20Bq/kgで頭打ちになる。
子ども10才(赤)では、立ち上がりが遅いが、300日ほどで、やはり20Bq/kgで頭打ちになる。
大人は(淡い青)500日で、30Bq/kgとなるがまだ、上昇し続けている。
以上