福島第一原発の3号機がれき撤去作業は「完全にコントロールされている」か。

汚染水貯蔵タンクから300トンもの汚染水が漏れ出して大騒ぎした平成25年8月19日に、もう一つ大きな事故が起きていた。
福島原発3号機がれき撤去作業による放射性物質の環境汚染である。
飛び散った放射性セシウムで汚染された(と厚生労働省福島県は原因推定した)原発から20km離れた南相馬市の米が突如基準値越えした。
ショッキングな出来事だった。
しかも、その報道は、平成25年の12月には発覚していたが、福島県厚生労働省原発がれき撤去作業について、東京電力に注意を呼びかけたH26.3の時点では大きく報道されなかった。
新聞(朝日かな?)がスクープのような形でH26.7初旬に報道するまで広く知られなかった。
(少なくとも私は初耳だった)
突如基準値越えした南相馬市(旧 太田村地区)の平成25年度 米。
46検体。
データベース
https://oku.edu.mie-u.ac.jp/food/

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品目 [ 米 ]
Cs-134+137 [ 100 ]

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と入力して検索を実行する。
結果:
https://dl.dropboxusercontent.com/u/37232669/tmp/shokuhin_houshanou_kensaku_kome.pdf
176件の基準越えした米のリストをみれば
南相馬市は、平成24年度は不検出だったのに
平成25年度に突如として基準越えしたことがわかる。
厚生労働省のダイジェストを平成26.3.31まで蓄積し、検索し易く整備してくれている三重大学の奥村教授に感謝。)
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平成25年8月19日は、3km北の双葉町郡山公民館のモニタリングポストの空間線量率が急上昇したことと、原発3号機のガレキ撤去作業をしていた作業員が被ばくしたことで、報道され、発覚した。
しかし、そのモニタリングポストのデータを解析すると、8/19以前から、(グラフからは、8/10あたり)既に、上昇が始まっていることが判る。
つまり、8/10あたりから、ガレキ撤去作業が、すこしづつ始まっていたのじゃないかな。
2013-08-28に私が書いた記事:
http://d.hatena.ne.jp/scanner/20130828/1377648801
8/10あたりから上昇が観察されるグラフ:
http://cdn-ak.f.st-hatena.com/images/fotolife/s/scanner/20130828/20130828162414_original.png
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汚染水モレ事故については、オリンピックを東京に誘致したい思惑から、安倍総理が、「完全にコントロールされている」と世界に向けて嘘をついた。恥ずかしいことだと想う。
しかし、原発ガレキ撤去による、追加環境汚染は、制御不能、野放しだった、ということになる。
厚生労働省福島県による南相馬市H25年米の基準値越えの原因がH25.8.19の福島第一原発3号機のガレキ撤去作業である、という原因推定が正しいと仮定した場合、)
これも 想定外だと言うのだろうか。
すくなくとも、食品検査体制が系統立って行われていたことにより、南相馬市(旧太田地区)の米が基準値超えしたことが、「見つかり」、その原因解析の過程で(厚生労働省現場職員スタッフや福島県職員の並々ならぬ努力がその背景にあったと想う)漸く、見えてきた現象だ。
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更に付け加えるならば、
2011.3.14−15に原発から147km離れたつくば市気象研究所が空気中から採種した塵に含まれていた放射性「セシウムボール」は、放射性セシウムや、燃料容器のジルコニウムだけではなく、燃料そのものであるウランが含まれていることが、その後の、Spring8を使った解析で確認された。(2014.7発表)
福島第一原発3号機は、1号機、2号機と異なり、ウラン燃料に、7%前後(?)のプルトニウムを混ぜて燃やすMOX燃料の原子炉であることが知られている。
Spring8を使って(例の和歌山カレー事件の証拠としてヒ素検出に使われたあの装置だ)漸く見つかる程、相対的に微量のウランとはいえ、燃料が溶けて、(中国から飛んでくる)PM2.5と同様に、風に乗って何処までも飛んでいく粒子サイズで原子力発電所の燃料が、四方に飛び散ったことが明らかになった。
食品放射能の測定は、環境汚染監視網としての役割をも担っていることが今回確認できたと私は思っている。
まだまだ、食品放射能測定は、手を抜いては行けないと思った7月だった。

履歴)
2016-4-22 原発から30km離れた→原発から20km離れた